3月とはいえ、まだまだ寒い日が続いていますね。
こんな季節には、フリースが大活躍。
わたしのフリースには、「KING’S COLLEGE CAMBRIDGE」の紋章が刻まれています。
10年ほど前、イギリスを旅した時買ったものです。
ケンブリッジは美しい町でした。
ケム川のほとりを、友たちと”You are My Sunshine”を歌いながら散策したこと(私の青春です)、セントラルで売っていたチーズポテトを買いそびれて悲しかったこと(そのあと夢に見ました)、泊まっていたホテルに警察がやってきたこと(このことは書くと長くなるので、いつかまた…)、愛らしいケンブリッジ・ベアに一目ぼれをしたこと…どれもこれも美しく、ありきたりな表現ですがキラキラした思い出です。
一方で、とても寒い町でもありました。
なんといっても、わたしが寒さをしのぐためにくだんのフリースを買ったのは日差しのまぶしい7月のことでしたから。
さすが極寒の国、保温性も保湿性も大変優れた良いフリースだと思っています。
ところで、このフリースを着てロンドンの友人を訪ねたとき、彼女が通っている教会に連れて行ってもらったことがありました。
「こんにちは、日本から来ました。ナイストゥーミーチュー。」
英語が喋れない人まるだしの英語で牧師に挨拶をすると、彼がわたしのフリースを見て言うことには、
「もしかして君、ケンブリッジの学生?キングスカレッジ?」
「いいえ、彼女は日本の…。」と返そうとする友人の言葉にかぶせ気味に、「イエース、オフコース。」とわたし。
すると牧師の顔色が明るくなって、
「そうなんだ!僕キングスカレッジの卒業生なんだよ!そこの彼はガートンカレッジの卒業、あとそれからそれから‥‥。」
という展開になって初めて、「あ、まずい。」と思いました。
「すみません、冗談だったんです。わたし本当は日本の大学の卒業で英語しゃべれません。でも牧師さんと楽しくお話したくて、つい。」
この言葉が英語ででてくるわけなんてない。
振り絞ってでてきた言葉は、「ソーリー、アイムライアー…。」
あのあとの記憶があんまりないのは、忘れたい記憶だからでしょうか。記憶の浄化作用とでもいうのでしょうか。
たぶん友が、一生懸命とりなしてくれたんだと思います。
…ごめん、友よ。迷惑をかけました。
…すみません、牧師さん。言い訳にしかならないけれど、コミュニケーションを取りたかっただけなんです。
…そしてありがとう、STC。こんなに英語を喋れない私を雇ってくれて。
ちなみに、
「すみません、冗談だったんです。わたし本当は日本の大学の卒業で英語が喋れません。でも牧師さんと楽しくお話したくて、つい。」
というのをスマートに言うとしたら、どういう伝え方が適切なんでしょう?スマートでなくとも、誠心誠意をお伝えしたかった…そう思います。
(STC通訳者・注)
なんだかフリースの暖かさが伝わって来るようなお話でした。
1) 上記の”I’m a liar.”という表現ですが、日本語の「嘘つき~!」とは全然違いますので注意が必要です。liarという言葉は極めて強い非難を表します。当然相手に対して使うことは、絶対に避けねばなりません。また、自分や家族を卑下する言い方(例として「ウチの旦那はメタボだから~」等)は、欧米ではあまり理解されません。
2) 「すみません、冗談だったんです。わたし本当は日本の大学の卒業で、英語が喋れません。でも牧師さんと楽しくお話したくて、つい。」は、以下のように言うと良いかもしれません。
”I’m kidding. I actually graduated from a university in Japan and don’t speak English.
I just wanted to chat with you, pastor…”
これからも、何て言ったらいいのこれ?シリーズをお待ちしています!